誰もが知ってる、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」。
その中の「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」の部分がずっと気になっていた。
質素な食事のつもりで書いているようだが、米4合って結構多いんじゃないか。
そんな疑問があった。
玄米4合のカロリーってどれぐらい?
玄米4合のカロリーは2076㎉である[1]日本食品標準成分表2020年版(八訂)をもとに計算。。
いっぽうで成人男性のエネルギー必要量は2700㎉である[2]30歳から49歳で普通に生活している人の場合。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020 年版)による。。
ということはおかずをほとんど食べないということを考えると、相当少ない摂取カロリーになる。
おそらく宮沢賢治は百姓仕事で生活することを念頭に置いているので、なおさら足りないだろう。
これならカロリーの面からみると質素と言ってよさそうだ。
でもまだ疑問がある。
腹はいっぱいになるんじゃないか。
だって4合の米なんてカサがすごそうではないか。
いくらカロリーが少なくて、おかずがさみしくても、米で腹いっぱいになっていたなら、イメージに合わないというものだ。
この疑問を解決するために、実際に食べてみることにした。
「1日に玄米4合と味噌と少しの野菜」を実際に食べる
食べた人の情報
身長171センチ
体重55キロ
年齢34歳
の男がこの実験を行った。
ということを念頭において読んでいただきたい。
たくさん食べられそうな体格でもなければ、若さで食べられる歳でもないということだ。
朝食
玄米4合は600gである。
だから毎食200gずつ食べればちょうどいい。
10時間ほど水につけ、炊飯器の玄米モードで炊き上げた。
200gの玄米を炊くと写真の量になる。
ラーメンを入れるようなどんぶりでなければ一度には入らない。
なかなかのボリュームだ。
朝食のおかずは、金山寺みそとキャベツの塩こうじ漬けである。
これが味噌と少しの野菜というわけだ。
この2つはおかずといっても玄米を食べるためだけのものである。
よって食事の初めから終わりまで黙々と玄米を食べることになる。
玄米自体はけっこうおいしいのだが、ずっとそればかりというのは、多少は飽きる。
焼き魚とまではいかなくても、せめて豆腐か納豆ぐらいは食べたい、と思った瞬間は確かにあった。
それでも嫌になるというほどではなく、普通に食べ終えることができた。
腹八分目というところだった。
昼食
昼食は朝食とほぼ同じである。
塩こうじ漬けがキャベツから大根に変わったぐらいだ。
玄米は消化が悪そうな印象だったが、特に胃にもたれるということも無かった。
普通に腹が減っていたので、朝食と同じく、腹八分目という感じで食べ終えた。
夕食
夕食では金山寺みその代わりに味噌汁にしてみた。
具は大根とチンゲンサイ、宮沢賢治は菜食主義者だったようなので、だしは干しシイタケでとった。
それときゅうりの塩こうじ漬けである。
汁椀が大きく、どんぶりを置くと窮屈になるので、玄米はいつも使っている、大き目の茶碗に入れた。
これで半分である。
2杯目は、おかずが足りなくなったので、岩塩を振りながら食べた。
これがなかなかおいしくて、今日の玄米のお供の中では一番だったぐらいだ。
そしてやっぱり味噌汁があると食事らしくなる。
満足感は夕食が一番であった。
「1日に玄米4合と味噌と少しの野菜」を食べた感想
1日に玄米4合はちょっと多いかなと予想していた。
でも実際食べてみると、あまりおかずを食べなければ苦しいほど多いということは全然ない。
普段の食事と同じぐらいの満腹感だった。
現代人の僕がそう感じるということは、もっと体を動かしていたはずの宮沢賢治にとっては、控えめな量だったのだろう。
結論
「1日に玄米4合と味噌と少しの野菜」という食事は、カロリー面ではもちろん、満腹感という意味でも当時の人にとっては質素な食事だった。
そして現代人にとっても特別多いわけではない。