最近年のせいか昔のことを思い出す機会が多くなった。
実家に行って両親に会うと、僕が子供のころの話をしたり、両親が子供だったころの話を聞いたりすることがよくある。
そこで時々話題になるのが、僕が子供のころに実家で行われていた餅つきである。
僕が中学生か高校生のころまで続いていたと思うので、だいたい平成の前半15年ぐらいのことだ。
毎年年末になると、親戚のおばさんが手伝いに来て家族みんなで大量の鏡餅とのし餅をつくり、昼にはつきたての餅を味噌汁とともに食べた。
つきたての餅はきな粉・粒あん・黒すりごま・大根おろしの4種類の味が毎年用意されていた。
味噌汁は、拍子木切りの大根を具にした、赤だしの、味の濃い味噌汁で、特に大根おろし以外の甘い餅と互いを引き立て合い、とてもうまかった記憶がある。
今思い出しても、あの時食べた餅と味噌汁はうまかった、としみじみ思う。
当時は子供だったこともあり、準備には全く関与せず、もっぱら杵でもちをつくことと鏡餅を作ることが僕の仕事だった。
大量に作った鏡餅は、1部屋に1個以上というぐらい、家じゅうに飾られた。
この鏡餅づくりが忘れられず、去年の年末に、餅つき機でついた餅で久しぶりに作ってみた。
少々不格好だったが、一応形にはなって、自分が曲がりなりにも先人の文化を受け継ぐことができていたということに喜びを感じた。
どうも聞いた話だと、父が子供のころは餅つきはやっていなかったらしい。
それが僕が生まれたということで、祖父母が孫に餅つきをやらせてあげたいと道具を用意してやり始めてくれたらしい。
そのおかげで餅つきという伝統文化にふれることができ、鏡餅を不格好にとはいえ作る技術を身につけることができた。
今思い出しながら書いていて、自分が家族に大事にされてきたということが改めて実感できた。
いそがしい年末に、前日の準備も合わせれば丸1日以上をついやして餅つきをやってくれた、当時の大人たちに心から感謝したい。