現代人にとって、小豆あんは甘いものと決まっている。
だが昔は砂糖を入れない小豆あんが食べられていたらしい。
たとえば岩手県中央部での調査ではかま焼きというお菓子に入れるあんについて次のような証言がある。
中に入れる小豆あんは、これもふだんは塩味だが、仏さまにそなえるときは黒砂糖を使うことがある。これはとてもおいしくて、だいじに食べる。[1]「日本の食生活全集 岩手」編集委員会『聞き書 岩手の食事』農山漁村文化協会 1984年
これは大正の終わりから昭和の初めの食事に関する調査だが、普段は塩味の小豆あんを食べていたというのだ。
甘くない小豆あんはどんな味なのだろう。
気になる。
というわけで塩あんを煮て、それでおやきを作ってみました。
塩あんづくり
僕は塩あんどころか砂糖入りのあんも煮たことがありません。
なので農文協の『伝え継ぐ日本の家庭料理 米のおやつともち』をみながら、完全にその通りに作りました。
分量は小豆300g、塩8gで作りました。
まず渋抜きをして、それからしばらく煮ます。
やわらかくなったので、塩を入れて煮詰めます。
できました。
食べてみると塩味の小豆というそのままの味でした。
おやき作り
次に塩あんを入れておやきを作ります。
小出陽子さんの『おやきの教科書』をみながら作りました。
生地で塩あんをつつんでせいろに入れます。
蒸します。
できました。
けっこううまくできたと思います。
感想
小豆あんなのにまったく甘くない。
むしろしょっぱいという不思議な味でした。
でも塩あんがホクホクで思ったよりおいしかったです。
あたたかいうちに食べたのが良かったんだと思います。
砂糖が入ってない方が体によさそうだし、意外と食べられる味でもあるので、ほかのお菓子も塩あんで作ってみたいという気になってきました(残った塩あんを冷凍してあるし)。
あと小豆あんを煮るのが思ったより簡単だと分かったのが一番の収穫でした。
脚注
↑1 | 「日本の食生活全集 岩手」編集委員会『聞き書 岩手の食事』農山漁村文化協会 1984年 |
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